うつ病はストレスによって発症されることもあります。普通、失職や多重債務などの後にうつ状態になった人がいれば、失職によるうつ病、多重債務によるうつ病、と考えるでしょう。
患者さんの話を聴けば聴くほど、そうとしか思えないし、時間的にも、こうしたストレスの後に発症しているのは確かです。
しかし、大うつ病にかかっていない、ふたごのもう一人に聴いても、最近同じようなストレス体験があった、と答えた、というのです。すなわち、ふたごの一方はそういったストレスの後に大うつ病にかかっており、もう一方はそういったストレスがあっても大うつ病にかかっていないのである。これはいったい何を意味するのでしょうか。
これはつまり、大うつ病にかかった人が「うつ病にかかる前に、失職して離婚して借金しました。だから私はうつ病になったんです」と言ったとしても、その因果関係が成立するかどうかはわからない、ということを示すのです。
ストレスに遭遇する度合いが、何らかの形で遺伝的な影響を受けていると考えられないだろうか。その原因としては、このふたごの人たちは、ストレスフルな生活上の出来事を経験しやすい性格傾向があり、この性格傾向が遺伝している、と考えることができるでしょう。
PR